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肺気胸の入院・手術体験記|再発を経験して【中編】

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肺気胸手術体験記、書いていたらやっぱりかなり長くなってしまったので、3記事に分けることにしました!笑

 

前編・中編・後編の3部作!

今回はその中編です。折り返し地点です。往路完走まであとちょっと!

特に手術当日のことから手術直後のことにクローズアップして書きました。

 

手術当日|胸腔鏡下手術によるカバーリング

手術前

手術当日は6時くらいに起きました 。6時半くらいに採血をして、9時に家族と面会。

準備ができたらしいので看護師さんにお呼ばれしました。手術室へは、妻と妹と一緒に行きました。自分の足で歩いて手術室へ向かったのでなんか死刑執行されるような気分でした。(されたことないけど)

 

手術室ではなんと音楽が流れていた。欅坂46の「ガラスを割れ!」という曲。

ロッキュー!!!

ってやつ。

 

手術台はじんわりと温かいスライムのようなものが敷かれていて、その上に横たわった。

麻酔科医の方と看護師さんに自己紹介をされ、ほどなくして軽くめまいのようなぼーっとするような感覚がやってきた。

 

麻酔科医「痛みを抑える麻酔を入れ始めましたからちょっとめまいがするかもしれませんー。気持ち悪かったら目を閉じててくださいね。そのまま眠る麻酔も入れちゃうので」

 

と言われてから数秒後、ぼんやりと目を開くと手術が終わっていた。

 

執刀医「あ、目覚めましたか。手術は無事終わりましたからね」

 

そんな感じのことを言っていた気がする。そこから先の記憶は曖昧で、起きて寝落ちを繰り返していた、ような気がする。

手術内容

手術内容は胸腔鏡によるカバーリング手術でした。

胸の3箇所に小さな傷をあけ、そこから手術をするという低侵襲(負担の少ない)な術式です。

 

僕の場合、左側の肺に穴が空いていたので、その責任部位を切り取り薄い膜を貼ってカバーリングをしました。輸血や血液製剤は使わず、膜の癒着も自己血を使いました。

肺の上部には無数のブラがあったのでそれらを全て取り除いてカバーリングしました。面積は中指1本分です。(肺の3〜5%程度)

手術後

手術後は通常の病室とは別の部屋にうつされた。重症の患者や手術後の患者を安置しておく特別な病室で、ナースステーションのすぐそばにあるため有事にすぐに対応できる。

 

視界がうっすらと戻ってきて、手や足も少しずつ動かせるようになってきた。そして気づく

 

めっちゃ痛い!!!

 

手術した側の背中がものすごく痛い。尋常じゃなく痛い。呼吸をするたびに激痛が走るから呼吸をしたくないがそういうわけにもいかない。

これは胸膜痛というもので、肺が膨らむことによって起こるものらしく、要はめちゃめちゃ痛い。

まだ麻酔が効いているため、しっかりと言葉で痛みを伝えることもできず、どうしてほしいという要望を伝えることもできず、本当に地獄の苦しみだった。二度と味わいたくない。

 

しかもひどい尿意とも並行して戦っていた。尿意はあれど、まだおしっこを押し出す筋肉が機能していないため出すことができない。

通常は尿道にカテーテルを入れているが、今回は術後すぐに尿道カテーテルを外してもらったため、尿は自分の力で出さなければならない。でも出ない。これも地獄だった。

 

そんな状態で地獄の戦いをしている中、家族がやってきた。

本当なら「終わったよ!」と明るくお話したいのだけど会話などできたものではない。

この辺りの記憶も曖昧。ただただ地獄だった。

 

ようやく話せるくらいになったので看護師さんに痛み止めを欲す旨を伝えたら、ロキソニンの座薬を入れてくれた。さすがロキソニン、30分後くらいから効き始めてようやく少し楽になった。

 

そうして術後3〜4時間が経ち何度か尿を出そうと踏ん張っていた頃、ようやく尿の筋肉が戻ってきているのを感じた。

そこで看護師さんに尿が出そうですと伝えたところ尿瓶を持ってきてくれた。しかし、麻酔の影響で僕が自分で起き上がることができないことを知っていた看護師さんは「今準備するから待っててくださいね」と補助してくれることになった。

 

若い女性の看護師さんだから気恥ずかしいが、地獄の痛み・苦しみを前にして羞恥心など何処へやらだった。早くこの苦しみから逃れたいという一点の想いしかない。

「よいしょ」という掛け声とともに看護師さんが僕のそれを尿瓶に装着する。

 

しかし出ない。踏ん張っても出ない。

 

試して失敗してを2回程お願いしたがもう少しのところで出ない。

これじゃまるで僕が看護師さんに補助してほしいがために呼んでいるように受け取られちゃうじゃないか。

 

流石に3回目は気持ち的にきつかったので、一度断念した。

本当に不思議なくらい出なくて、踏ん張ろうとしても踏ん張れないんですよ。

30分程我慢し、座ることができるようになったくらいで尿瓶チャレンジ。今回は自分でやった。ようやく出た。尿道の激痛と戦いながらも正常な量の尿が出せた。看護師さんに伝えると、異常はないようでひとまず安心とのこと。(尿が出る出ないは腎臓や膀胱が機能しているかを確認する大事な指標) 

手術当日の夜

どうやら経過良好らしく、僕は手術当日の夜には軽く立ち上がれるくらいにまで回復していた。水も飲んでいいと言われたので少しだけ飲んだ。唇の痺れは若干残っている。

 

相変わらず呼吸すると痛いし、おしっこするとき激痛が走るがそれ以外は良好。もちろんまだ歩いてトイレに行く許可が出ていないのでおしっこは尿瓶に。

それに、体には心電図・血圧計・点滴・肺に繋がるドレーンとたくさんの管や線がついているのでベッドから離れることはできない。

 

錠剤のロキソニンを飲んでその日は寝た。が、隣のおじいさんのせん妄というか寝言というかがかなりうるさくて、ちゃんと眠れなかった。夜中何度もおきたのは辛かった。 

手術翌日

背中の痛みは昨日よりだいぶましになったが、未だ激痛。

いつまで続くのかなーと思っていたら主治医がやってきた。回診の時間。

ドレーンパックをチェックし、エアリーク(空気もれ)がないことを確認すると

 

「大丈夫そうですね。よし、本日の午後にドレーン抜いちゃいましょう」

 

え、速くね!?

いろんな体験談みたところ多くは2日後くらいと把握したたんだけど、まさかの翌日!

びっくり!

 

主治医が大丈夫というので僕もそれに同意。手術翌日の午後15時頃、ドレーンを抜去しました。

 

前回は麻酔なしで抜去したのですが、今回はドレーンの場所に局所麻酔をしてもらいました。ちくっとした痛みがありましたが、それ以外は無痛。

 

主治医「はい吸ってー、吐いてー、息を止めて」

 

といったお決まりのやつを繰り返し、いつの間にか抜去は終了。

先生は手術がお上手。

確認のため何度か咳払いをして、異常がないことが確かめられたらOK。久しぶりにドレーンのない体に戻りました。

咳をしてください!痰を出してください!

ドレーンはなくなりましたが、まだ術後1日しか経っていないため依然として看護師のフォロー体制は厚い。中でも何度も言われたのが

 

「咳して痰を出してください!」

 

だった。

全身麻酔時に使用する人工呼吸器によって器官が傷つき、肺は細菌が繁殖しやすい状態にある。そのため、痰がたくさん出るのでそれを排出してくださいとのことだった。ちゃんと出さないと無気肺(肺が膨らまない状態)や肺炎の原因になるため、痰は徹底して出してくださいと言われた。

 

咳するの怖いし咳すると痛いけど、できる限り頑張って痰を出した。でも、手術時間が短かったこともあり、僕の場合は痰は少なかった。カルボシステインという去痰薬をもらっていたけど、あんまり出なかった。

 

え、出ないんですか!?と看護師さんに言われたときは怖かったけど、主治医に聞いたらそういう人もいますとのことだったので安心した。

歩いてください!

歩いてください!はめっちゃ言われました。

術後の筋力回復と、肺を膨らましたり痰を出しやすくしたりする意味を込めて、術後はなるべく早めに立ち上がったり座ったり歩いたりを意識的にやった方がいいみたいです。早期離床(そうきりしょう)と言います。

 

歩くのめちゃくちゃ疲れるので、座り続けたりトイレで立ち上がったりすることに挑戦していました。いや本当歩くのつらい。すぐ息切れする。肺が少し小さくなったからね。

手術後2日目

相変わらずの痛みや息苦しさはありましたが、それ以外は特に目立った症状はありませんでした。

あ、胸膜摩擦音は引き続きあったな。そして再発の不安は常につきまとっていた。もちろん排尿痛も。

 

この頃になると自分で自由に歩けるようになっていたので、つらいけど頑張って歩くようにしました。といっても廊下を往復するのが限界なので、時間を置いて何度か繰り返しました。

 

レントゲンの結果は良好で、まだ鎖骨のちょい上くらいまでしか膨らんでいませんでしたが、これは時間の経過とともに治っていくものなので安心しました。

まあ、とはいえまだ空気が残っているので気胸の症状はあるというのがつらいですよね。この日もベッドを30度くらい傾けたまま眠りました。

 

眠りのお供はアマゾンプライムです。モヤモヤさまぁ〜ずをずっと聴いてました。あとはサンドウィッチマンの漫才。心の安定です。 

 

後編に続く 

www.aoku-sumitoru.com

 

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肺気胸の体験談を一冊の本にしました!

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