MENU

肺気胸の入院・手術体験記|再発を経験して【後編】

SPONSORED LINK

みなさんこんばんみ!(古のあいさつ)

肺気胸ブロガーのすみとおるあおです。

 

3年前(2019年12月)に肺気胸の手術をして、その後の体験談を前編・中編・後編に分けて書く予定だったんだけど、後編書くの完全に抜けてて中編で終わっちゃってた。

 

だけど嬉しいことにというかなんというか、不定期に同じ病気に悩む方々からお問い合わせやコメントをいただくのね。その後いかがですかとか、退院後の仕事復帰はいつ頃から出来ましたかとか。

 

肺気胸って再発率が比較的高い病気だから、本人も家族もすごく不安になる気持ちわかるのよ。しかも特発性自然気胸の場合、原因不明だから対策しようがないし、なんなら研究がまだ進んでないからネットに落ちてる情報や体験談から安心材料や判断材料を得ていくしかないにも関わらず、ネットに落ちてる情報数が少ないこと少ないこと。

 

だから、今自分にできることを全てやりきっておきたくて、過去の一連の経験を体験談としてまとめて完結させることにした。

手術してからかなり時は経っちゃったけど、当時の記憶をたどりながら後編書きます。

手術後5日目|退院

退院が早かった!びっくり!

年末に入院したから年始までには帰りたいと伝えたからかもしれないけど、まさか手術が終わって5日後に退院することになるとは思わなかった。

 

主治医曰く、異常がなければ早く退院して日常生活に復帰した方が、体力の戻りが早くて結果的に治りが良くなるということだから、それを信じて迅速に退院したよ。バイバイ病院☆

 

本来であれば手術費用と入院費用合わせてが100万円以上かかるんだけど、高額医療費制度という医療費の負担を大きく軽減してくれる制度を使って合計費用が10万円程度で済んだよ。(詳しく知りたい方は以下のリンクを読んでね)

www.kyoukaikenpo.or.jp

退院後の経過

退院したら即日常生活の始まり始まり〜、、、なんだけど、そううまくはいかなくて、やっぱり人間って入院・手術すると体力も気力もガクンと落ちるのね。

退院〜2週間

無事に家に帰って、まずは妻にありがとうの気持ちを伝えました。僕が明け方に緊急入院してから妻も一時的に不眠症になったりと、いろいろ気苦労をおかけしました。

 

退院したは良いものの、いうて僕の体は5日前に手術した体ですので本調子ではないです。何度も言うけどびっくりするくらい体力が落ちてて、いつもだったら徒歩10分で行けるスーパーすら20-30分かかるし、片道行ったら一旦休まないと動けないくらいの、もはやおじいちゃんなんじゃないかという状態でした。

 

何かあったら病院に来てねとは言われていて、そういった意味でのアフターフォロー的な安心感はあったのですが、体力の落ち具合とまた再発するんじゃないかという恐怖でメンタルはボロボロでした。(気胸かかったことがある人ならわかってくれるはず。。。!)

 

なんならまだ左側の背中が痛むし、胸膜摩擦音(肺が膨らむときに胸膜に擦れて聞こえるノイズ)が聞こえるし、治ったはずなのに全然生きた心地がしなかったです。

 

まだ傷口は残ってるのでガーゼをしているのですが、衛生的に保つためにガーゼは定期的に取り替える必要があります。

 

とはいえ手術後の傷口はとてもデリケートで、少しでもバイキンが入ろうものなら膿んでしまい最悪もっかい病院行かなきゃいけないので、ガーゼを取り替えるときは毎回必ず手指を殺菌消毒したり、購入するガーゼは1個ごとに個包装されているものをエランdなりと、ガーゼを取り替える時はものすごく気を遣いました。

退院〜1ヶ月

もちろん退院してからも経過観察が必要なため、しばらくは定期的に通院する必要があります。

退院してから確か2週間後くらいかな、傷口と病態の経過観察のために病院に行きました。

 

診察ではレントゲンを撮って肺の大きさを確認すること、傷口を確認することがルーティンになっています。

 

実は桔梗は手術後にすぐに肺の大きさが元に戻る訳ではないんですよね。手術がうまくいっても、元に戻る(胸腔に空気が吸収される)には一定の時間がかかります。僕の場合も例に漏れず、徐々に元に戻っていきました。

 

今回のレントゲンでも経過は良好、鎖骨より上の方に若干の空洞があるものの前回より肺が膨らんできているため特段追加の治療は必要とせず、引き続き経過観察となりました。

 

補足として、経過は良好といっても症状が完全にない訳ではなかったです。

背中の痛みは2〜3週間は続いたし、胸膜摩擦音は1ヶ月経ってもまだ残ってました。もちろん少しずつ緩和していっているのですが、それでもメンタルが敏感な状態の今は不安でいっぱいでした。

退院〜2ヶ月

退院して1ヶ月ちょっとくらい経ってから職場復帰をしました。

早すぎぃ!!!と周囲からは言われたのですが、当時の僕の給料が低いのなんので、生活費必要すぎて一刻も早く働きたかったので、身体と心と主治医と相談して全てからOK出たところで仕事に戻りました。

 

ただ実際仕事が始まったら、通勤しただけで疲れるのなんのって!

1日勤務しただけで帰ったらご飯食べて即刻バタンキューでした。毎日仕事行けてる人偉いし、仕事できてるだけですごいって感じました。

なので、会社と相談して最初は時短かつ週3勤務とかにさせてもらい、徐々に業務時間を増やすことにしました。

 

そして退院から大体2ヶ月が経った頃、ようやく左肺の大きさが完全に元通りになりました。背中の痛みもほとんどなくなり、ほんの少しの胸膜摩擦音だけが残った状態になりました。

 

主治医の先生にも自分の状態は細かく伝えたのですが、基本的には時間の経過で治ることで無視しても問題ないとのことなので、通院はこれで終了となりました。実際に、胸膜摩擦音もそこから1-2週間くらいで完全に消えました。

 

体力もほぼ手術前と同じくらいまで回復し、最初は仕事行くだけで精一杯だったのに、この頃には週5で仕事ができるようになりました。

 

退院から2ヶ月が僕の手術体験の最終章って感じでした。

手術を終えて3年経った今思うこと

超絶月並みな話になるんですが、健康で生きていられることは本当に幸せなことですね。

 

安心して呼吸ができることって当たり前のことじゃないし、週5で仕事ができることだって当たり前のことじゃない、夜に寝れるのも当たり前のことじゃないし、朝起きれることも当たり前のことじゃない。

 

病気にかかると1日を平穏に過ごせることの価値を実感するのですが、悲しいかな、人間は時が経つと忘れてしまう———。

 

———僕は昔から病弱で、これまで肺気胸だけでなく、うつ病や慢性胃炎、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、重度の鉄欠乏性貧血など多くの病気にかかった経験があります。(肺と胃と腸に穴が空いた。ビンゴ)

 

慢性胃炎では空腹時もご飯を食べる時も食べた後もずっと激しい腹痛に悩まされていたし、重度の鉄欠乏性貧血の時は階段を上がることすら困難だった、うつ病の時は1ヶ月以上ベッドから起き上がることすら困難だった。

 

そんな経験を複数して、体に負荷をかけ過ぎるとすぐに結果として現れることは分かりきったことなのですが、時が経つとやはり忘れてしまい、自身の愚かさを実感します。昔からの諺(ことわざ)で"喉元過ぎれば熱さを忘れる"とはよく言ったものです。

 

僕は自分に負荷をかけやすい、ストレスを溜めやすい、無理しがちで心身を壊しやすい性格の持ち主で、そんな僕が言うのも説得力がないのですが、仕事や人間関係より自分の命の方がよっぽど大切です。

 

ここで頑張れば昇進できる、ここで我慢しておけば丸くおさまる。

その前提条件に”自分の命を削らない”は入ってますか?

 

人は死にます。死んだら昇進しても意味がない。

 

月に残業を60時間できたり、不規則な時間で働いたりできるのって一種の才能だと思います。身体に負荷をかけることのできる、生まれ持った才能。

 

その才能のない僕は残業を月に10時間しようものなら翌月には心身がボロボロになりますし、不規則な生活をすれば即ダウンします。

 

人間は皆一様ではなく、個体差の大きい生き物だと感じています。だから、"あの人ができているから"、"あの人が大丈夫だから"、は自分とは無関係な話で、生命に関わる判断の際には一切あてにしないということを強く伝えたいです。

 

自分の心身からのシグナルには正直に従ってください。健康で生きていればいくらでもやり直せます。仕事の失敗は時間をかければ取り戻せるし、転職といった他の選択肢を選ぶこともできますが、健康は一度崩すと戻すまでにかなりの時間とコストがかかるし、最悪戻せなくなる。

 

これは僕自身に言い聞かせているだけなのですが、病気は例え投薬治療や手術で治ったとしても、同じ生活・同じ環境・同じ意識で過ごしていたら再発する可能性や他の病気になるリスクが高まると感じています。

 

だからこそ、”病気”という身体からのシグナルをしっかり聞いて、その先の人生にどう活かすかを考えていきたいと思います。

肺気胸の人飛行機乗れるの?問題

ちなみに、よく肺気胸持ちの人は飛行機に乗っても大丈夫なの?という疑問が肺気胸界隈で上がってきますが、僕もそこは気になっていてまだ飛行機乗るのが怖いです。

 

主治医曰く乗っても大丈夫だよ、すでに割れそうなブラ(肺の端っこの風船みたいなもの)があるならやめた方がいいけど、あなたの状態ならおそらく大丈夫だと思います、とのことなんですけど、100%安全!とは言い切れないのって不安だよね。

 

でも沖縄行きたいし、長崎の対馬行きたいし、海外行きたいしで、それらの地域に行くには飛行機が必須なんだよね。

最初から海外だとハードル高いので、最初の一歩ということで、まずは近場から試していこうかなと思っています。

番外編|持っててよかったもの・知っててよかったもの

肺気胸の症状は、軽度・中等度・重度の大きく3段階に分かれるのですが、僕はこれらを全て網羅しました!(おめでとう!)

 

軽度だと入院できず自宅療養になる。中等度だと医師によって判断変わるけど、半分が自宅療養、半分がドレーン挿入で入院になる。重度でようやく入院手術が確実になるって感じ。もちろん再発回数が多いと中等度でも手術が選択肢に出てくるけど、初発とかだとこんな感じかな。

 

そんな気胸をいろいろ経験してきた僕が、気胸に悩んでいる期間に持っててよかったものと知っててよかったものを紹介するよ!

持っててよかったもの

1つ目:パルスオキシメーター

パルスオキシメーターは簡単にいうと血中酸素濃度(正確には経皮的酸素飽和度=SpO2)を計測する医療機器です。

これがあると指を挟むだけで血中酸素濃度が10秒くらいで測れるのでめちゃくちゃ便利です。

 

先にも述べたように、肺気胸って軽度や中等度の場合、自宅療養を推奨されることが多いんですね。でもじゃあどのくらい苦しくなったら入院すべきなの?手術すべきなの?とかの具体的な基準って教えてもらえないし、主観で判断しにくいんですよね。

 

そこで僕はパルスオキシメーター、病院に行くべきかどうかの判断材料のひとつとして使用していました。(今自分の肺がどのくらい縮んでしまっているのかの参考値として)

大体SpO2の正常値は96〜99%と言われているのでそれを参考にしていました。

 

だからと言って95%だからダメかというとそういうわけではなく、一般的には90%を切ったらよくないと言われてたりもするので95%=即病院!ではないという点はお伝えしておきたいです。

 

また、パルスオキシメーターも万能ではなく、正しく計測できないこともあるので数字を鵜呑みにせず、苦しいとか痛いとかの主観で病院に行くか救急車を呼ぶかの判断をすることの方が僕は大切だと考えています。(実際僕が重度になった時は、苦しくて我慢できないと感じたので救急車呼びました)

 

なので結論、パルスオキシメーターはあると心強いけど、それだけに判断を委ねることはしないでねというのは強く伝えておきたいです。

 

ちなみに僕がパルスオキシメーターを買ったのは、病院に行く判断材料を増やすためというのもありましたが、お守り的な要素のが強かったです。これを見て血中酸素濃度が98だったときに、ああ今はきっと大丈夫だ、これくらいなら死なないはず、と安心できたからです。

 

パルスオキシメーターについて詳しく知りたい方は、こちらのページを見ることをお勧めします。

参考資料:一般社団法人日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメータ」

https://www.jrs.or.jp/file/pulse-oximeter_general20211004.pdf

2つ目:リクライニングシート

これは完全に僕個人の意見なので医学的にどうかみたいなところは検証できていないからおすすめはしないのですが、座椅子型のリクライニングシートは重宝しました。

 

何に使ってたかというと、寝るときに肺から空気が漏れる音を聴かないようにするためです。

 

肺気胸の中等度以降になったことがある方はわかるかと思うのですが、穴が空いて空気漏れてる状態で寝っ転がると穴の空いた場所からポコポコと空気が漏れる音が聞こえる(伝わってくる)んですよね。

 

僕はその胸からポコポコ音がするのが本当に嫌で嫌で、最初は不眠になってました。でもあるとき気づいたんです。上体をある程度起こしたまま寝ればポコポコ音が聞こえずに寝れることに。

 

これは発明だ!!!

とすぐにリクライニングシートを買って、布団の上にリクライニングシートを置いてしばらくは毎晩寝ていました。

 

ただ1点、デメリットは腰やお尻が痛いことです。

角度をつけるとポコポコ音は聞こえなくなりますが、その分腰やお尻に体重がかかるので腰痛や床ずれになるリスクが上がります。

 

実際ぼくも1週間使ってたら腰痛の症状とお尻の痺れに悩まされたので、どうしても音が気になる時とかだけ使ったりしてました。

 

理想は病院のベッドみたいにウイーンって自動で体が起こせるようなベッドで寝れたらいいんですけど高いのよ!!!電動ベッド!!!!最低でも30〜40万円もするの!!!

だから僕は数千円のリクライニングシートで妥協しました。買えるなら電動ベッドのがいいかもね。

知っててよかったもの

知っててよかったものは間違いなくこの2つの制度。傷病手当と高額療養費制度。

傷病手当金

当たり前のことなのですが、入院・手術中は働けないから給料がゼロ!一番お賃金欲しいタイミングなのに!

そんな時に役立つのが傷病手当金という制度。

 

傷病手当金は、ざっくりいうと"業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること"などの特定の要件を満たせば、いつもの毎月の給料の約2/3が毎月もらえるよという制度です。

 

やばくないですか?

休んでてもお金もらえるんですよ?

民間の保険とか加入してなくても、健康保険料納めてれば利用できるので、マジでちゃんと払っててよかったわと国に感謝しました。

 

提出する書類だったり要件の確認だったりが若干面倒ではあるのですが、そこに時間かけるだけの価値が間違いなくあります。僕は人生で2回使ったのでもう慣れたもんです。

 

よーわからん!って方で会社勤めの方は、労務や総務に確認してみるとスムーズだと思います。有給をどこで取るべきか、取らないべきか、といった判断も労務と相談の上で決めるのが良いかと。

 

ただし、実際にお金が振り込まれるまではタイムラグがあるため、申請したからといってすぐ振り込まれるわけではない点にご注意を。入院が決まった段階くらいで同時並行で進めるのがおすすめです。

 

参考資料を以下に載せておきます。

www.kyoukaikenpo.or.jp

高額療養費制度

高額療養費制度、これは最重要項目!必ずチェック!!!

 

ざっくりいうと、高額療養費制度は、医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻される制度のことです。

 

所得区分によってどのくらいまで自己負担額が抑えられるのかが決まるのですが、僕の場合は手術費・入院費込みで10万円くらいで抑えることができました。(本来かかるお金は100万円くらいだったと思う)

 

大きな病院だとこの制度の存在を教えてくれることが多いのですが、中には教えてもらえないことがあるので知っておいてまず損はないです。

 

高額療養費制度もご多分にもれず書類提出が必要なのですが、傷病手当金程難しくないのでご安心を。ちなみに制度の建て付け上は、差額分を後で払い戻しということになってますが、病院によっては支払い段階で差し引き後の自己負担額でOKだよと言ってくれる場合があるので、その辺りは病院と相談してみることをおすすめします。

 

提出すべき書類や、制度の概要が記載された参考資料を以下に載せておきます。

www.kyoukaikenpo.or.jp

おわりに

肺気胸人生が長いし、肺気胸フレンドも何人かいて、本当はいろんなエピソードとかたくさん書きたかったのですが、長くなりすぎないようにかいつまんで書きました。

 

肺気胸ってまだまだ研究真っ只中な病気でもあるので、体験談や対処法などがネットにもなかなか落ちてない。僕も当時かなり不安な日々を過ごしていました。そんな中たまに見つけた体験談が一筋の希望だったこともあります。僕も誰かのささやかな希望、不安を忘れる暇潰しのひとときになれたらと思い、体験談を完結させることにしました

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

あくまで一個人の体験談ではありますが、この体験談をきっかけに肺気胸で悩んでいる方々の不安が少しでも晴れたら幸いです。

 

大事なお知らせ|本を出版しました!

肺気胸の体験談を一冊の本にしました!

amazon Kindleで発売しており、Kindle unlimitedだと"無料"、通常版でも99円で購入できるので読んでいただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。