最近おしゃれなオフィスが増えていますね
僕は企業専門(B to B)の不動産を扱う仕事柄
たくさんの会社に訪問するので、より感じます
美容室のように全面ガラス張りだったり
ここはカフェなんじゃないかというくらい洗練されたデザインが施されていたり
各所にディスカッションをするためのテーブル(しかもコンセントが挿せる!)
が散りばめられていたり...
きっとこういう設計にすることで
いつでもどこでも意見交換やブレーンストーミングができるので
より効率的に、より生産性が高い仕事ができると考えられているのだと思う
でも実は、それが一部の人にとっては
心の負担が大きい空間に感じることもある
内向的な人と外向的な人
名著『変身』(朝起きたら変な虫になってたやつ)を執筆したカフカさんは
自身が執筆作業をする時のことについて、愛する妻に向けてこう語っています
“僕が書いているそばで座っていたいと、きみは言ったことがある。けれど聴いてくれ、そうすると僕は何も書けなくなってしまうんだ。なぜなら、書くというのは、自分のなにもかもをさらけだすことだから。そうした極限の状態に身を任せているその場に他人が入ってきたら、正常な人間ならば誰だって身がすくんでしまうはずだ……だからこそ、書くときにはいくら孤独でも孤独すぎることはないし、いくら静かでも静かすぎることもないし、夜の闇がいくら深くても深すぎることはない。”
~『Quiet 内向型人間の時代/スーザン・ケイン』より引用~
カフカさんの表現が文学的で素敵です
この気持ち、執筆という活動をしていなくても
共感できる方がたくさんいるのではないでしょうか
近年、コミュニケーションだ!人脈だ!といった
外向性を美徳とする風潮がやや強くなっているように感じます
『もっとハキハキとしゃべれるように練習しよう!』
『パーティに参加して色んな人と繋がろう!』
『コミュニティに属そう!』
こんな声をよく聞きますし、目にします
SNSツールの発達により個人の声がより多くの人に届くようになり
外交的な人の声がより強調されて聞こえるようになったことも
理由の一つだと思います
たしかにこれだけ個人と個人が繋がりやすい今の時代
繋がれるうちに繋がった方が良い気がします
でも世の中には
『独りの時間がほしい』
『独りで仕事がしたい。その方がはかどるから』
というように“孤独な時間”を大切にしたい人(≒内向型人間)が
意外と多かったりします
そういう人にとっては
今は少し息苦しく生き苦しい世の中になっているなぁと感じています
一人の時間が必要な人たち
あくまで僕の経験上の話ですが
内向型の人たちは
創造力が豊かで、繊細で、軍師的役割を果たせる人が多いです
でも何故か軍師としてではなく我慢して最前線で戦っている率が高い
三国志で例えると
諸葛孔明が大剣持って 呂布や関羽のいる敵陣に突っ込んでいるようなものです
あなたが本当に活躍するべき場所はそこじゃない
ゲームだと最前線でビーム出して戦ってますが...
引用元:http://blog.esuteru.com/archives/6884331.html
彼らにとって外に打って出ることはとてつもないエネルギーを要する
人によっては一瞬でノックアウトしてしまう人もいる
そんな彼らにとってのエネルギーチャージ方法が
一人の時間を持つということなのです
一人が好きなのはいいことなのよ!
会社には多種多様な人がいる
一兵卒の如く最前線で最高の力を発揮できる人もいれば
事務作業でサポートすることにやりがいを見出せる人もいる
だからオフィスを1つの種類の人間のためだけに設計するのは
会社にとっても効率が悪い
一部内向型の社員のためにも
孤独の時間をつくれるスペースも作ってあげてほしいなって思います
その人がその人らしく
“内向的であること”
“孤独を大切にすること”
に後ろめたさを感じることなく輝いていられる
そんな国土になりゆくことを願うまでです

- 作者: フランツカフカ,Franz Kafka,中井正文
- 出版社/メーカー: 角川書店
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