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【注意】処方薬(病院の薬)は個人輸入通販で買わないで|登録販売者からのお願い

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処方薬(病院の薬)は法律上通販では販売・購入できない

2014(平成26)年6月12日に薬機法(旧薬事法)が改正され、一般用医薬品(第1類・第2類・第3類医薬品と呼ばれる市販薬)がネット通販で販売できるようになりました。

 

しかし、処方薬(病院の薬)は日本の現行法ではネット通販で販売・購入することができません。

 

処方薬(病院の薬)は原則として医師から処方箋をもらい、それを薬剤師に渡してからでないと購入することができない薬です。医療業界では、別名「医療用医薬品」と呼ばれています。 

処方薬(病院の薬)は医師・薬剤師の観察のもとで使う薬

処方薬は、薬局やドラッグストアなどで販売されている市販薬(一般用医薬品)と比べて人体に対する作用が著しいため、ほとんどの場合医師や薬剤師による観察のもとで使用される必要があります。

 

自己判断で使用すると正しい効果が得られなかったり、思わぬ副作用が発現したりするおそれが大きくなるので原則として処方箋がないと購入できないシステムになっているのです。

 

そういった事情から、日本では法律で処方薬の販売方法については次のように定められているので、通販・個人輸入で購入することができなくなっています。

1.医薬品の販売規制の見直し

医療用医薬品(処方薬)については、人体に対する作用が著しく、重篤な副作用が生じるおそれがあるため、これまでどおり※薬剤師が対面で情報提供・指導


厚生労働省より引用:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/sinseido.pdf 

個人輸入通販は医薬品副作用救済の対象外のおそれがある

法律上は処方薬(病院の薬)を通販で販売することは許されていませんが、中には法の目をかいくぐって処方薬を販売している個人輸入通販サイトもあります。

 

そして個人輸入通販サイトの存在を知っている方の中には

 

「バレなければ買える」

「購入者に落ち度がないのだから買っても問題ない」

 

といった考えをお持ちの方がいます。

 

しかし、結論からいうと、たとえ手段として購入することができたとしても処方薬(病院の薬)を個人輸入通販で購入することは決しておすすめできません。

 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構という国の機関で定められている『医薬品副作用被害救済制度』の対象外になるおそれがあるからです。

医薬品副作用救済制度って何?

医薬品副作用救済制度は、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対して、各種の副作用救済給付を行う制度です。

 

この制度は被害者の迅速な救済を図ることを目的とし、医薬品医療機器総合機構法に基づく公的制度として設けられたものです。

 

具体的には次のような給付金があります。

・医療費:副作用による疾病の治療に要した費用


・医療手当:副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用


・障害年金:副作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償


・障害児養育年金:副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に給付される


・遺族年金:生計維持者が副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付される


・遺族一時金:生計維持者以外の人が副作用により死亡した場合に、その遺族に対する見舞等を目的として給付される


・葬祭料:副作用により死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付される

詳しくはこちら(リンク先:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

通常は上記のような給付金が救済制度として整えられているのですが、処方薬(病院の薬)を個人輸入通販によって購入した場合はこれらが受け取れなくなるおそれがあるということです。

医薬品副作用救済制度が適用されなかった事例

実際に、医薬品副作用救済制度が適用されなかった事例は次のようなものがあります。

【自己判断で使用した事例】

医師の処方により使用される医療用医薬品を自己判断で使用したり,家族に処方されていた医療用医薬品を,診療を受けていない者が使用した以下のような場合も自己判断による使用であり,使用目的・方法が適正と認められないとされました。

 

<カルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群(DIHS)>

右顔面痛を主訴に受診。三叉神経痛の診断のもと,カルバマゼピンを服用中に,薬剤性過敏症症候群を発症した。副作用が発症したため,主治医はカルバマゼピンの服用を中止するように指示したにもかかわらず,痛みに耐えられない等の理由でその後も自己判断にて服用を継続していた。

 

<総合感冒剤による薬物性肝障害>

感冒症状を認め,家族に処方されていた医療用の総合感冒剤を服用し,肝機能障害及び黄疸を発症した。本事例では,本人以外に処方された医薬品を自己判断で使用した。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構より引用:https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/286-1.pdf

簡単にまとめると、処方薬(病院の薬)を医師や薬剤師の指示によらず自己判断で使用して生じた副作用については、救済制度が適用されない可能性が高いということです。

 

100%間違いなく救済されないとは言い切れませんが、ほぼ100%に近い確率で救済制度が適用されないと考えた方がよいでしょう。

個人輸入通販は医薬品の安全性が保障されていない場合もある

また、救済制度が適用されないという点だけでなく、個人輸入通販にはもう一つの懸念点があります。

 

それは「医薬品の安全性」です。

 

通常、日本国内で正規に流通している医薬品は、医薬品医療機器等法に基づいて品質、有効性及び安全性の確認がなされていますが、個人輸入される外国製品にそのような保証はありません。

 

安全性の基準を満たしている個人輸入先もあるかもしれませんが、必ずしも安全であるとは限らないということを留意しておきましょう。

 

医薬品の安全性について考えられる懸念点は次の通りです。

・安全性や有効性が保証されていない
・不衛生な場所で作製されているおそれがある
・虚偽または誇大な効能効果をうたっているおそれがある
・正規メーカーを偽った偽造品の可能性がある
・個人輸入の製品は医師や薬剤師などの専門家でも十分な情報を把握しておらず、副作用などに対応できないおそれがある

こういった理由からも、個人輸入通販で処方薬(病院の薬)を購入することはおすすめできないのです。

処方薬(病院の薬)を通販で買うならスイッチOTCを選ぶ

処方薬(病院の薬) をネット通販で購入することは現状の法制度上できませんが、処方薬と同じ成分を配合した市販薬である「スイッチOTC医薬品」であれば、Amazon・楽天・ヤフーショッピングといったネット通販で購入することができます。

 

希望する成分を配合した市販薬が必ずしも販売されているとは限りませんが、一度ご自分が欲しい処方薬の成分を調べて、該当するスイッチOTC医薬品が販売されているかを確認してみるとよいでしょう。

 

現在市場に出回っているスイッチOTC医薬品の一覧は、厚生労働省のHPに記載されていますので、次のリンクを参考にしてみてください。

 

【セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧】

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000333654.pdf

 

もしくは、薬局やドラッグストアにいる薬剤師・登録販売者に相談してみることをおすすめします。

おわりに

処方薬(病院の薬)は、医師や薬剤師の指示通りに使用することが大原則です。

 

医薬品を使用して重篤な副作用が生じることは稀なケースとはいえ、万が一のことを考えた上で医薬品は適切な場所で購入しましょう。

 

どうかお大事にしてください。