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ベーシックインカム制度のメリットとデメリット・問題点を解説

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『ベーシックインカム』という言葉を聞いたことがありますか?

 

日本では2017年に希望の党の小池百合子さんが公約として掲げたことで少し話題になりました。

しかし、依然として認知度は高くないようです。

 

これからの時代『ベーシックインカム』という言葉は、政治・経済・福祉などさまざまな場面で議題に上がってくる重要な語句だと感じています。

 

この記事では、そんな『ベーシックインカム』のメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

ベーシックインカム制度とは?

ベーシックインカム

ベーシックインカム制度とは、政府が国民全員に無条件で、生活する上で最低限度の現金を給付する制度(政策)のことをいいます。別名「基本所得」ともいいます。

 

ベーシックインカムの特徴は、年齢・性別・就職の有無に関わらずすべての「個人」がお金を受け取れることです。

「世帯」ではなく「個人」というところも大事な点です

 

生まれた瞬間からベーシックインカムを受け取れる権利が得られ、その権利は老人になって死ぬまで継続されます。

 

何もしなくてもお金が手に入る、一見すれば夢のような政策といえます。

通常の社会保障制度との違いは?

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ベーシックインカムが通常の社会保障制度と大きく異なる点は「無条件」というところにあります。

 

年金・生活保護・失業保険といった社会保障制度は、基本的に一定の条件を満たすことが必要です。

 

年金であれば納付義務と年齢、生活保護であれば世帯所得や就業可否などのような要素が絡んできます。

 

それに加えて、役所への申請という手続きが必要になります。

 

これらの社会保障制度はセーフティネットの役割を果たしていますが、そのセーフティネットの恩恵を受けるにはさまざまな障壁があるのです。

 

その点が、ベーシックインカムの「無条件」という性質と大きく異なります。

ベーシックインカムと社会保障制度はトレードオフ

ベーシックインカムを実現するには多くの社会保障制度を改変・撤廃する必要があります。

 

そのためベーシックインカムが実現されると無条件ですべての国民が現金を受け取れますが、その一方で生活保護などのいくつかのセーフティネットがなくなるおそれがあります。

 

無くなるという言い方をすると語弊がありそうなので、既存の社会保障制度の「代替」というニュアンスのが近いかもしれません。

 

では、実際ベーシックインカムを導入するとどのようなメリット・デメリットがあるのかについて見ていきましょう。

ベーシックインカムのメリット

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ベーシックインカムを導入するメリットはさまざまあります。

ここでは日本におけるベーシックインカム導入のメリットを見ていきましょう。

メリット1:貧困の解消につながる

毎月生活に必要な最低限度の現金が支給されるため、少なくとも何もしなくても生活をすることができるわけです。

 

ホームレスになる可能性も低くなるので、ホームレスの数も減少します。

 

「生活保護を受けるために稼ぎを抑えないと。。。」

などといった悩みも不要になります。

メリット2:少子化対策につながる

ベーシックインカムは個人に支給されるため、単純計算家族が多い方がより多くのお金を世帯で受け取れます。

 

一人暮らしよりも結婚した方が、夫婦だけよりも子どももいた方がより多くのお金を受け取れます。

 

現状ではお金がないから子どもを産めないといった状況が社会問題になりつつあるため、ベーシックインカムは少子化対策においても一石を投じる希望になりえます。

メリット3:ブラック企業が減る・労働環境改善

国民全員が生活に必要な分のお金を手にすることによって、わざわざ心身を酷使して無理してまで働く必要がなくなります。

 

労働者の多くは

「生活できないから泣く泣く働く」

といった我慢をしなくてもよくなります。

 

結果として無理な労働を強いるブラック企業が減ることが期待されます。

低賃金で劣悪な環境で働かせる会社は自然に淘汰されることでしょう。

メリット4:行政のコストが減る

既存の社会保障制度の多くは、対象者の審査・申請処理を行うために多くの時間的・人件費的コストがかかります。

 

多くの社会保障制度をベーシックインカムに統一すれば、さまざまな手続きが不要になり、行政の時間・費用両方のコストの節約が期待できます。

メリット5:起業・夢へ挑戦する人が増える

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ベーシックインカムによって最低限度の生活が保障されると、心と時間に余裕が生まれます。

 

すると本当にやりたいことへ投資する時間もお金も増えるため、今より多くの人が起業や夢へ挑戦することが期待されます。

 

やりたい仕事をやる人が増えたら社会が明るくなるかもしれません。

ベーシックインカムのデメリット

ベーシックインカムにはデメリットもあります。

デメリット1:財源確保が難しい

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ベーシックインカム実現の大きな壁は財源の確保です。

毎月全国民に現金を支給するため、ベーシックインカムを実現するには莫大な予算が必要になります。

 

たとえば日本だと、1億2000万人に1人当たり毎月10万円を支給するとしたら年間で換算すると144兆円の予算が必要になります。

2017年の国家予算が約97兆円なので、普通に考えたら実現が難しいことがわかります。

 

ベーシックインカムの実現には、いかに他の社会保障をなくし、税制を改革し、歳出を減らすかが重要になります。

デメリット2:セーフティネットの機能低下

財源の確保と重なる点で、ベーシックインカムを実現するとしたら既存の社会保障のいくつかを撤廃する必要があります。

 

仮に生活保護制度をなくした場合、病気などで働けない人はどうなるのか。

仮に失業保険をなくした場合、復職への支援はどうなるのか。

といったことが懸念されます。

 

ベーシックインカムの導入に際しては、どの社会保障制度をなくしてどれをどの程度残すのかといった議論が必要です。

デメリット3:労働意欲低下のおそれ

ベーシックインカムにより毎月生活するのに十分なお金が手に入ると、多くの人は働かなくなってしまうのではという懸念があります。

 

しかし、労働意欲については、実際のところ低下するおそれはないという研究データが多いようです。

実際、最低限度の生活費があってもあくまで最低限度なので、働かなければそれ以上の生活をすることはできません。 

 

多くの人は今まで通り働くことになると思うので、この点についてはデメリットではないのではと、私は考えています。 

ベーシックインカムの問題点

ベーシックインカムを導入するにあたって、現実的な問題点もあります。

問題点1:年金機構などの大きな組織の解体の実現性

社会保障制度を撤廃する際、ほぼ必ずといっていいほど「年金制度」はその対象となるでしょう。

 

しかし、年金制度が撤廃されるということは年金機構という大きな組織をつぶすことになります。

そこには利権が関わってくるでしょうし、簡単に潰れてくれそうにはありません。

 

これまで積み上げた年金の行方についても議論の余地があります。

問題点2:「国民」の定義

ベーシックインカムの恩恵を受けることができる「国民」の範囲を定める必要があります。

国籍で限定するのか、それとも住んでいさえすればよいのか。

 

その判断のいかんによっては移民が増えることが懸念されます。

おわりに:まとめ

ベーシックインカムのメリットとデメリットを表にまとめるとこんな感じです。

メリット ・貧困の解消
・少子化対策
・ブラック企業減少・労働環境改善
・行政コストの低下
・起業・夢へ挑戦する人の増加
デメリット ・財源確保が難しい
・セーフティネットの機能低下
・労働意欲低下のおそれ

 

総合的に見ると、ベーシックインカムを導入することの方が今の日本にとってはメリットが大きいように見受けられます。

 

・年金制度の破綻

・若い世代の低所得者の増加

・過酷な労働環境

・経済的に子どもを生み育てにくい

 

こういった今の状況を変えることができるのはどういった政策かと考えたとき、ベーシックインカム制度であれば一石を投じることができるのではないかと、僕は考えています。