さて問題です
コンビニを出店するなら
図の①~③のどの立地が最も売れるでしょうか?
答えは出ましたか?
正解は
・
・
・
①です!
理由は文中で解説します
読むのが面倒な方は目次をクリックして
ワープして読んじゃってください
はじめに -店舗開発という仕事-
僕は不動産の仕事をしています
特に法人向け・事業用不動産をメインに取り扱っています
コンビニとかドラッグストアとかファミレスとか…
いろいろなお店を適切な立地に出店させるお仕事です
業界ではこのような仕事を『店舗開発』と呼んでいます
店舗開発の仕事を通して何千何万という物件を見てきているので
売れる場所と売れない場所の区別がだいたいつくようになりました
だから今回は
「こんな立地は売れるよ」
みたいなものをデータや経験則と文献に基づいてまとめました(=゚ω゚)ノ
店舗開発初心者向けに書きますが
一般の人もトリビア的に楽しめるようにしてますので
楽しんでご覧いただければと思います
冒頭の問題の解説
まずは冒頭の問題の答え①について
なんとなく感覚的にはわかると思いますがあらためて解説します
①の方が優れている理由は大きく2つ
1.駅の近くにある
2.磁石との導線上にある
1.駅の近くにある
駅が大きければ大きいほど乗降客数が多く
駅近くの通行量も多くなります
そのため、駅に近ければ近いほど店舗の前面に通る人の量が増えるので
お店に入るお客さんの数も多くなるということです
3つの立地とも距離的に大差ないように見えますが
本当に数メートル違うだけで変わるのが店舗開発の世界です
特に今回の場合は『横断歩道』の存在が大きいです
①や③の場合は横断歩道を1回渡るだけで済みますが
②の場合は2回、つまり信号を2回またがなければお店に辿り着きません
それが大きなストレス(障害)となり、お客さんの意欲を削いでしまうのです
「じゃあ③の方が①より若干近そうだし売れるんじゃね?」
と思われる方もいると思いますが
③が売れない理由は次の理由に起因します
2.磁石や住宅街との導線上にある
磁石とは
駅やショッピングセンター・スーパー・百貨店等の商業施設のような
人がたくさん集まる場所のことを指します
導線とは人の流れが生じる道筋を指します
ほとんどの人は磁石と磁石の間、磁石と自宅の間を行き来します
そのため今回の場合、導線は次のようになります
<磁石と磁石>
<磁石と住宅街>
いずれの場合も立地①の場所を通ることがわかります
そのため①が最も売れる立地と推測されるのです
人間の心理と導線 -4つの法則-
立地を選ぶ基準と言うのは他にもたくさんありますが
"導線"
これは店舗を出店する上でとても大切なことなので
最後に導線の4法則についてだけまとめておきます
出典は全て以下の本より
1.最短距離実現の法則
"人間は、目的地へ最短距離で行こうとする。遠回りや余計なこと、損はしないよう考える。だから「裏道=裏導線」が発生する"
2.保証実現の法則
"人間は、あらかじめ得をするほうを選ぶ。目的地に向かって最初の横断歩道を渡り、進む。例えば、駅前ロータリーの真正面に店舗があっても、自分がこれから進む方向でなければ店舗へ行こうとはしない。"
3.安全重視の法則
"人間は、基本的に身の安全を守るため、知らない道は通らない。危険だと思われる場所、他の人が行かない場所には行かない。例えば、店舗が目の前にあっても「大幹線」「大きな河川」がある場合、そこを横断してまで、その店には近づかない。"
4.集合の法則
"人間は、自然と人だかりや、人の集まるところに集まる。「ラーメンブーム」などがよい事例である。"
これらは人間が目的地へ向かうための心理状態を表したものであり
特に、目的性が低く、コンビニやドラッグストアといった
競合の多い業態の出店の際はこれらの点に意識を向けておきたい
おわりに -店舗開発は面白い-
不動産の分野全般に言えることですが
世の中にはどれひとつとして同じ物件は存在しません
面積も違えば経済条件も違う
通行量も違えば周辺の客層も違う
土地も違えば地域の色も違う
地主も違えば借主も違う
似ている立地はあっても
まったく同じ物件というものはひとつとして無い
それが難しさであり面白さでもあります
この記事を読んでくださった皆様
明日町を歩くとき、ぐるっと周りを見渡してみてください
ちょっと景色が違って見えると思います
いつも何気なく見過ごしている無機質な建物が
色と温度を持った面白い生き物にみえるかもしれませんよ